東京公認心理師協会の地域活動@蒲田寺子屋
2022年8月7日「言葉の可能性を探る ~心理士(師)が地域でひらかれるために」
2023年8月6日「コロナ禍を振り返る」
夏恒例の交流イベントにしていけたらと思っています。
場所は地域活動の実際を知っていただくことも兼ねて
大田区にある松岡宮さんのオフィス「蒲田寺子屋」をお借りしました。
松岡さんはこの小屋で大田区・高次脳機能障がいをもつ方と家族のつどい「たまりば~」などの活動もされています。活動状況はこちらをごらんください。
131頁〜フェルッチョ・オージモ「体験ー力動心理療法:アタッチメント理論の治療応用」 =Osimo, F. (2013) Experiential-dynamic Psychotherapy: an application of attachment theory From the volume: The Milan Seminar by J.Bowlby, edited by M,Bacciagaluppi
Theory and Practice of Experiential Dynamic Psychotherapy
心理療法の臨床と科学』(誠信書房)ですが品切れ・重版未定。
Individual Psychotherapy and the Science of Psychodynamics, 2Ed 邦訳は『
ーWebSiteー
IEDTA:International Experiential Dynamic Therapy Association
Types of EDT
IS-TDP(Intensive short-term dynamic psychotherapy)
Lifespan Learning Institute
日本EMDR学会
フェルッチョ・オージモ IEDP(Intensive the model of Experiential-Dynamic Psychotherapy)
Intro to Intensive Experiential-Dynamic Psychotherapy (IE-DP) by Dr.Ferruccio Osimo
ダイアナ・フォーシャ AEDP(加速化体験力動療法:Accelerated Experiential Dynamic Psychotherapy)
2021年8月8日、20時−22時、著者の吉川浩満さんにもいらしていただき、
『理不尽な進化 増補新版 ─遺伝子と運のあいだ 』吉川 浩満 著のオンライン読書会を行いました。
ここでは主に精神分析との関連からメモを載せておきます。
フロイトがその初期の仕事からダーウィンの影響を受けていることはよく知られています。そこで『フロイト全集 別巻』の事項索引で「進化(論)」と「ダーウィン」がどのくらい出てくるかをチェックしてみたら次のようになりました。
「進化(論)」は1,3,4,6,16,17,18,19,20,21,22巻
「ダーウィン」は2,3,7,8,9,12,13,14,15,16,17,18,21,22巻
の各数ヶ所に登場しています。
フロイトは、ゲーテの「自然についてのエッセー」を読んで医学部に進む決心をしたそうですが、その時すでにダーウィンにも影響を受けていました。というより、この時代、ダーウィンに影響を受けなかった研究者がいたのでしょうか。この時代、それは神との関係の変化でもあり、彼ら無神論者の目が、すでに創造されたものではなく、その起源を見据えていたことの意義は計り知れません。
『精神分析というお仕事 Terrors and experts』 (妙木浩之訳、産業図書)の著者アダム・フィリップスも『ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢 DARWIN’S WORMS』(2006,渡辺政隆訳、みすず書房)という本を書いています。
吉川浩満さんが”「絶滅」という観点こそ、生物の歴史を真正面から受け止めるために必要”では、と思考へ誘ったのと少し似て、フィリップスは”ダーウィンとフロイトが「生き延びられる喪失」に魅せられていた”と「喪失」から論を展開しています。
”ダーウィンとフロイトを結ぶものがあるとしたら、伝統的に高等なものとされてきたものに対する、鋭い懐疑だろう。”(p140)
ちなみに翻訳はダーウィンの『種の起源』『ミミズによる腐植土の形成』(光文社古典新訳文庫)などの訳者の渡辺政隆さん。
ご参考までに。
2020年年末にオンラインで読書会を行いました。
読んだのは2020年10月末に刊行された独立派の精神分析家、ハロルド・スチュワートの『精神分析における心的経験と技法問題 』(筒井亮太訳、金剛出版)、ゲストに訳者の筒井亮太先生をお招きしました。
https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b534144.html
筒井先生とは直接お会いしてお話ししたことはなかったのですが、先生が監訳者のおひとりとして翻訳されたマイケル・ジェイコブスの『ドナルド・ウィニコット』(誠信書房)の書評を書かせていただいたご縁でスチュワートの本もご恵投いただきました。私はこの翻訳が出ることを以前より楽しみにしており、せっかくなら翻訳しおわったばかりで誰よりも著者に同一化しているに違いない臨床家兼翻訳家の先生からお話を伺いたい、という個人的な希望を先生にお伝えしたところご快諾くださいました。
そこで、昨年から今年にかけての年末年始は特別で、ご自宅で過ごされる方が多いのではないかと思い、ざっとでも本を読んでからご参加いただきたいというお願いをつけて身近なみなさんにお声がけをしたところ、なんと15名という思ったより多くの方が集まってくださいました。オンラインでしたので普段はお会いできない方がご参加くださったこともとても嬉しかったです。
筒井先生には、企画から実施までの短期間にもかかわらず、大変充実した資料をご準備いただきました。また参加者のみなさんも「ざっと」ではない読み方、しかもそれぞれの臨床現場に即した実感のこもったご意見、ご感想を持ちよってくださり、活発なやりとりができ、2時間があっという間に過ぎてしまいました。
スチュワートは医師であり、精神分析家です。英国精神分析協会の訓練分析家でした。
その人と理論については、本書をお読みいただければと思いますが、精神分析における位置づけとしては、ウィニコットやバリントの後の世代の独立派として分類されています。
本書を読むと、スチュワートは、スーパーヴァイザーであるバリントの理論の批判的咀嚼をはじめ、一般開業医として、精神分析家として、丁寧で柔軟な臨床に基づいた議論を展開した分析家だったという印象を持ちます。
ちなみにバリントは『甘え』理論の土居健郎先生(『「甘え」の構造』など著書多数)と共通した考えを持っており、相互に影響を与え合った分析家です。
筒井先生はその『バリント入門』(スチュワート著)の訳者のおひとりでもあり、今回の読書会ではバリントの退行概念のこともわかりやすく説明してくださいました。
今回、本書を通じて、スチュワートが催眠を手放した理由、オイディプスとイオカステ母子(夫婦)の新たな視点からの読解、大変重い症例に対するマネージメントと精神分析実践の描写など、様々な観点からスチュワートと触れ合い、それぞれが興味を持った概念や症例について話し合えたことで本書の全体像が浮かびあがり、私たちの臨床的な視野を少し広げることもできたように思います。
また、ウィニコットのemptinessの概念に心惹かれた方も多かったようで、これまであまり独立派の精神分析家に馴染みのなかった方にも良い出会いがあったようでした。出会いの価値を実感します。
この一年、コロナ禍において、私たち臨床家もこれまでとは異なるマネージメントと実践について思いを巡らす必要に迫られました。患者やクライエントとともにいるために自分たちになしうることは何か、それぞれが懸命に考えざるを得なかった一年だったと思います。そして今も見通しがきかないその状況は持続しています。
そんななかだからこそ企画できたこの読書会でもありますが、精神分析という同じ学問に魅力を感じ、学び、試行錯誤を繰り返している仲間たちと和やかで自由な時間を持てたことは、今年2021年もなんとか持ちこたえよう、という力を与えてくれたようにも感じました。
以下に、当日にも名前をあげた文献を載せておきました。
ご興味のある方はご参照ください。
第四章「内的空間の体験における変化」の初稿。
PEP Web - Changes of Inner Space shar.es/ao5FIR
H.ガントリップ『対象関係論の展開』 小此木・柏瀬訳(誠信書房)ー中古なら入手可
ハロルド・スチュワート『バリント入門』
https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b514987.html
フェレンツィ『精神分析への最後の貢献ーフェレンツィ後期著作集』
http://www.iwasaki-ap.co.jp/book/b195833.html
フェレンツィ 『臨床日記【新装版】』
https://www.msz.co.jp/book/detail/08695/
リトル『ウィニコットとの精神分析の記録
精神病水準の不安と庇護【新装版】』
http://www.iwasaki-ap.co.jp/book/b195859.html
バリント『一次愛と精神分析技法』森・中井・枡矢訳(みすず書房)
https://www.msz.co.jp/book/detail/08696/
バリント『新装版 治療論からみた退行 基底欠損の精神分析』(金剛出版)
https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b514902.html
サンドラー『患者と分析者 精神分析の基礎知識』藤山・北山監訳(誠信書房)
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b87911.html
ウィニコット(1941)
On Influencing and Being Influenced
ウィニコット(1963)
Fear of Breakdown
ーDonald Winnicott Today (The New Library of Psychoanalysis)
Abram, Jan (EDT)
↑emptinessはウィニコットのFear of Breakdownにある概念でスチュワートもそれを引用しています。
J・ミルトンら『精神分析入門講座ー英国学派を中心に』
http://www.iwasaki-ap.co.jp/book/b195647.html
舘直彦『ウィニコットを学ぶ 対話することと創造すること』
http://www.iwasaki-ap.co.jp/book/b195932.html
ウィニコットの音源
Audio recordings - Oxford Clinical Psychology Introduction to Winnicott’s Broadcasts
マイケル・ジェイコブス 『 ドナルド・ウィニコット その理論と臨床から影響と発展まで』
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b472746.html